ホシタニ ユウタ /狼男(180歳)
動物が苦手な狼男。
犬に追いかけられていたところを助けてくれた『憧れのヴァンパイア』と仲良くなりたい。
狼男とヴァンパイアは古来より天敵同士ではあるが、異種間交流を諦める方法なんて知らない!
INTRODUCTION
――あなたの種族は、何族ですか?
この世界には、古の時代から『モンスター』が存在する。
一際大きな力を持つ2つの種族――オオカミ族とヴァンパイア。 不気味な沼地を有する綾薙の泉と、鬱蒼と広がる……暗く深い永茜の森に隔たれた両者の縄張りは常に緊張状態にあり、 『血で血を洗う争いを起こしたくなくば、縁(えにし)を結ぶべからず』という古い掟に従って、 オオカミ族とヴァンパイアは互いに交流することを禁じてきた。
歳月は流れ――
狼男のカズヤとヴァンパイアのキョウは幼くして出会い友情を育むも、種族の違いから離れ離れに。
更に歳月が流れ――
狼男のホシタニはあるヴァンパイアと出会う。
ホシタニの『憧れのヴァンパイア』と仲良くなりたい! という行動力が、世界の色を変える……?
今描き出される、
青春ドタバタ【モンスター】
ストーリー開幕!
オレたちは、共生を諦める方法なんて、知らない――。
STORY
Side:狼男/ オオカミ族の縄張りにて
ホシタニ
ヤマナシ、ヤマナシ!
オレ、もしかしたら神様に会っちゃったかもしれない!
カズヤ
お前、狼男じゃん。モンスターのくせに神様とか信じてんの?
そこは100歩譲って魔王様とかじゃね?
ホシタニ
そう言われてみれば魔王様って感じでもあった……!
とにかくキラキラしてて足長くってカッコよかった!
カズヤ
!!
ユータ。それってもしかして……綾薙の泉を渡って永茜の森の奥に入ってった
とこにあるでっかいお屋敷にいた奴?
ホシタニ
そうそうそう!!
カズヤ
そいつ俺知ってる! 多分俺の幼馴染だ!
ホシタニ
え!? 足長い?
カズヤ
足長くってイケメンだろ? 絶対そうだ。でも魔王……??
そんなにアク強くないと思うけど……。
ホシタニ
でも黒い翼がヴァッサババババーン! だったよ?
カズヤ
そりゃそうだよ、あいつヴァンパイアだもん。
ホシタニ
えええ!? じゃ……じゃあ、オレたち狼男の天敵じゃん!
カズヤ
まあな……だから俺もあんま一緒に遊べなくなっちゃって。
ホシタニ
そうだったんだぁ~。親切な人だったし、また遊びにおいでって言われたから、行きたかったのになあ。
カズヤ
えっ! あいつそんなこと言ったの? 狼男にそんなこと言うなんて……。
ホシタニ
オレその時、獣化しちゃってたから犬かなんかと間違えたのかも。
オレ、そもそも犬に追いかけられてて、そこを助けてもらったんだ。
カズヤ
ユータは狼男のくせに動物が苦手だもんな……。
ホシタニ
うん、オレ、変身した自分の姿すら怖いよお……。
カズヤ
困った奴だな、ほんと。勉強も苦手だし。
ホシタニ
そんなハッキリ……。
ヤマナシさ、別にいいんだけどオレの方が年上だって忘れてるよね……。
カズヤ
あ、悪い。
ユータってなんか、兄貴分としてはちょっと頼り甲斐不足なもんでさ(苦笑)
ホシタニ
よく言われる……。まあ、あんまり気にしてないよ。
カズヤ
そーだ! 今から一緒に、その屋敷行ってみねえ?
ホシタニ
え、さっき帰って来たばっかりなのに??
カズヤ
俺も久々に会いたいし!
よく考えたらあいつはユータをただの犬と思い込むような奴じゃないし、
狼男だって分かった上で優しくしてくれたんなら、
俺ともまた遊んでくれるかも!
ホシタニ
ふーん。ヤマナシはあのヴァンパイアとすっごい仲良しだったんだな!
よし、行こう! オレももう一回会ってちゃんと仲良くなりたい!
オレを助けてくれた、あの『憧れのヴァンパイア』に!
Side:ヴァンパイア/ ヴァンパイアの屋敷にて
オオトリ
タキセ。お前の使役猫が俺の部屋に迷い込んでたよ? ほら。
キョウ
ああ。すみません、オオトリ伯爵。
オオトリ
この辺、最近動物嫌いのモンスターがうろついてるから気を付けな。
キョウ
動物嫌いのモンスター?
オオトリ
そ。今日、そういう奴に会っちゃった。
狼の姿で走り回ってたから最初は犬かと思ったんだけど、あれは多分狼男だな。
俺の使役犬たちに懐かれて追いかけられてたんだよ(笑)
キョウ
随分と間抜けな狼男ですね。
そもそも動物嫌いって……自分も獣じゃないですか。
オオトリ
面白いよね(笑)
キョウ
言っておきますけど、狼男は俺たちヴァパイアの天敵ですよ。
一族の掟です、あまり交流しない方が。
オオトリ
お堅いお堅い! そんな古い考え方ナンセンス!
俺はモンスター同士、いろんな種族と仲良くしておく方がいいと思うけどなあ。
なんなら人間とだって仲良くしたいよ。
キョウ
変わってますね。
オオトリ
また遊びにおいでって言っといたから、ひょっとすると来ちゃうかもな。
タキセ、やたらと怖がらせたりしちゃだめだよ?
昔はお前だって狼男とよく遊んでたでしょ? 確か仲のいい奴がいたじゃない。
キョウ
……カズヤですか?
オオトリ
そうそう。最近見かけないけど元気?
キョウ
さあ。狼男とは絡まないようにしてるので。
オオトリ
クールだなあ。お前に懐いてて可愛かったのに。
でもまあ、オオカミ族は群れを成すモンスターだしね。
タキセがいなくても群れの仲間がいるから寂しくはないか。
キョウ
群れの仲間……。
オオトリ
どうしたの? ニンニクを嚙み潰しちゃったような顔してるけど。
キョウ
いえ。ただ……、
オオカミ族に一際馬の合わない狼男がいることを思い出しただけです。
オオトリ
あらら(笑) お前はほんとオオカミ族と折り合いが悪いね。
でもその狼男だって、お前の幼馴染にとっては大事な群れの仲間かもしれない
じゃない?
キョウ
それが問題だって言ってるんです……。
オオトリ
え。……なんだか、モンスター関係が複雑だなあ(苦笑)。
ホシタニ
あ! いたいた! あのヴァンパイア!
カズヤ
ん!? あれ!? キョウじゃないじゃん!
ホシタニ
ううん、“今日”会った人だよ?
カズヤ
あ~違う違う! そのキョウじゃなくてっ……もういいや!
そんなことより、あのヴァンパイア、ヴァンパイア違いだって!
ホシタニ
え!? でも足長くてイケメンのヴァンパイアだって言ったじゃん!
カズヤ
確かに足長くてイケメンだ……。
ヴァンパイアって全員ああいう見た目なのかあ~? 羨ましいな……。
ホシタニ
つまりヤマナシが言ってたのは別のヴァンパイアだったってこと?
カズヤ
そう。
なんだあ……ワンチャン、キョウが歩み寄ってくれたのかと思ったのに。
勘違いかよ~。
ホシタニ
なんかごめん。でもそのヴァンパイアもこのお屋敷に住んでるんなら、
探してみたらいいんじゃない?
カズヤ
ユータってノーテンキポジティブだよな……仲間に言われねえ?
ホシタニ
よく言われる……。でも一度は友達だったんならさ! 「久し振り!」で
案外また一緒に遊べるかもしれないじゃん!
やる前から諦めたらダメだって! オレは夢を諦める方法なんて知らない!
ってことで行ってくる!
カズヤ
へ!? 一緒にキョウ探ししてくれねえの!?
ホシタニ
会ってみたいけど、今は『憧れのヴァンパイア』と仲良くなるのが先だ!
今度一緒に遊ぼうな! じゃ~!
カズヤ
おーい! ……行っちまったよ……。う~一人で行くのか~っ。
こんなことならジュンも連れてくりゃ良かった~っ。
ユータの奴、鳴き声はジュンとそっくりなのに薄情すぎね~!?
ホシタニ
あの! こんにちは!
オオトリ
あらら、さっきの狼ボーイ。今度は動物の姿じゃないんだ。
ホシタニ
あれっ? オレがあの狼だってなんで分かったんですかっ?
オオトリ
姿かたちが変わっても、相手の体内を流れる血の熱さや薫りで分かるんだ。
あんまり吸血鬼に心許したら、干物にされちゃうよ~?
ホシタニ
お、オレのことジャーキーにしても美味しくないですよっ!
オオトリ
あははは、冗談だよボーイ!
でもこの屋敷にはいろんなヴァンパイアが住んでるから気を付けな?
ヴァンパイアとオオカミ族は古の時代から天敵だって相場は決まってるからさ。
ホシタニ
やっぱそうなんだあ……。ってことは、ヤマナシが言ってたキョウって人も、
もしかして怖いヴァンパイア??
オオトリ
キョウ……? ああ、タキセ? タキセは悪い奴じゃないよ?
あいつはいうなれば……拗らせ系ヴァンパイアかな?
ホシタニ
オレの友達の友達なんです!
オオトリ
じゃあ今度、こっちの仲間とそっちの仲間でピクニックにでも行こうか!
ホシタニ
わあ、いいですね! みんなで美味しいもの食べたり日向ぼっこしたり!
オオトリ
日向ぼっこしたら俺たち灰になっちゃうよ、ボーイ(笑)
ホシタニ
ハッ!!
よ、夜のピクニックでっ! オレたち狼男も満月の夜は元気いっぱいです!
オオトリ
なら元気に鬼ごっこでもする? 鬼って言っても吸血鬼だけど。
ホシタニ
ま……満月だったら負けませんっ!
オオトリ
あはは、いいねえ。遊びの時間だ!
カズヤ
クンクンクン……このニオイは! キョウが近い!
キョウ
こんなところで何してる……。
カズヤ
おわっ!! きょ、キョウ!! いつからいたの!?
キョウ
お前の間抜けな姿が遠目に見えてた頃からだよ。
カズヤ
間抜けってっ! 酷くねえっ?
俺、この数年で結構立派な狼男になったと思うんだけど……。
キョウ
全く変わらないよ。
カズヤ
うぐ……。キョウも変わんないじゃん。ドライな奴。
キョウ
お前が百面相なだけだよ。
カズヤ
久し振りに会った挨拶がそれかよっ。も~っ。
キョウ
……フッ。「も~」ってお前、いくつだよ。
カズヤ
! 今笑った!
うお~笑顔は子ヴァンパイアの頃とおんなじで可愛いじゃん! 懐かし~!
キョウ
……いいよ、そんな話は……。
それより、本当に何してるんだ。俺たちの屋敷の敷地内で。
カズヤ
えーと……付き添い?
俺の縄張りの狼男がなんかお前んとこのヴァンパイアと仲良くなりたがっててさ。
俺より年上なんだけど、ちょっとほっとけない感じの奴でさー。
キョウ
年上の狼男……?
まさかお前、あいつとまだ付き合いがあるんじゃないだろうな。
カズヤ
あいつ??
キョウ
悪影響だから群れるなって言ったよな。
カズヤ
あ、ハイジマ先輩!? あっはは、違う違う!
確かにユータはハイジマ先輩と同い年だけど、全然違うんだって(笑)!
ハイジマ先輩はもっと頼り甲斐ある感じだし、俺たち後輩が世話なんか焼かなく
たって何でも出来るし、狩りも上手いし、人間脅かすやり口も芸術的だし、
噂ではヴァンパイアにもファンがいるとかなんとか、とにかくめっちゃ凄い狼男だからユータとは全然タイプが違――……ハッ!!!
キョウ
しっかり群れてるだろうが💢
ホシタニ
ってわけで! ヴァンパイアのオオトリ先輩と仲良くなりましたー!
ツキガミ
先輩?
クガ
なんで先輩なんだ。
ホシタニ
え? えーとぉ……何となくそう呼びたくなる感じの人なんだよね!
ナユキ
ふふ。きっと頼れる感じの人なんだね。
テンゲンジ
ハッ、何考えてやがる野暮助。
狼男がヴァンパイアと仲良くなってどうするってんだ。
ホシタニ
ダメ? 悪いヴァンパイアじゃないんだしいーじゃん。な! ツキガミ!
ツキガミ
俺に聞くな。生い立ち的に、俺にとってはデリケートな問題だ。
クガ
ツキガミの親父さんと兄貴はヴァンパイアだしな。
ナユキ
ウオズミ公爵とも仲がいいもんね。
ホシタニ
ムサシヤみたいな古参のオオカミ族が、ヴァンパイアは敵ってわけじゃないっ
て思ってくれたらモンスター界はもっと楽しくなるんじゃないかって思うんだ
けどなあ。
ねえ、みんなもヴァンパイアと話してみたら!?
オレたちで新しい伝統を作ろう!
テンゲンジ
出たぜ、ノーテンキポジティブが。
ナユキ
だけど、ホシタニくんらしいかも。
クガ
だな。
ツキガミ
まあツキガミ家としては、長きに渡るオオカミ族とヴァンパイアとの関係に
変化が生まれることは喜ばしくはある。
今回ばかりはホシタニの行き当たりばったりな行動力に乗ってみてもいいが。
ホシタニ
よーし! オレたちが先陣切って、ヴァンパイアと仲良く交流しよー!
オレたち、
5人
スターダスト!!!!!
カズヤ
……やっぱ、敵は手強かった……。
ジュン
キョウは結構頑固だかんな。残念でした。
カエデ
敵と仲良くなりたがってんじゃねえ。ヴァンパイアなんか片っ端から齧れ。
カズヤ
敵ってそういう意味じゃないんですよ~っ。
アンジュ
ヤマナシくんにとっては……その、タキセくんというヴァンパイアとの間に
出来た溝こそが『敵』ということなんですかね……。
カズヤ
それ! さすが繊細さが分かる狼男、イカルガ先輩!
カエデ
(ガブゥッ)
アンジュ
イタタタタタタッ!
ジュン
イカルガ先輩が丸齧りに!
ユウイチ
共食いしたら腹壊すぞ、カエデ。
カエデ
めんどくせえ、ヴァンパイアなんか絶滅させりゃいんだよ!
カズヤ
ちょっとっ! ただでさえヴァンパイアは俺たちオオカミ族に比べりゃ希少な
モンスターなんですから、縁起でもないこと言わないで下さいってっ!
イオリ
ハッ。分かってねえなあ、カズヤ。
ヴァンパイアってのはその希少性を選ばれし者の誇りだと思ってるような連中なんだぜ? なんせモンスター界の貴族だからなあ。
カズヤ
ハイジマ先輩、お帰りなさい!
ジュン
孤高の貴族様かー。
根本からして、群れるの大好きオオカミ族とは考え方が違うよな~。
ユウイチ
そっかあ? あいつらも屋敷の中で群れてんじゃん。
カエデ
なんでんなこと知ってんだよ。
まさかお前もヴァンパイアの連中と仲良く遊んだりしてんじゃねえだろうな?
ユウイチ
いーや?
カズヤ・ジュン
(嘘つけ……)
アンジュ
な、仲良くはないですが、僕も……シドウくんが言う通り、
ヴァンパイアたちは世代交代する中で変わってきたような感じはします……。
イオリ
確かにな。俺のことペットにしようと鼻息荒くしてるストーカーヴァンパイア
がいるくらいだ。
アンジュ
やたらと距離を詰めてくる恐ろしいヴァンパイアもいます……う、胃が……。
カズヤ・ジュン
(結構、変なヴァンパイアばっかだな……)
イオリ
何にせよ、そんなにタキセと近付きたいなら俺が一肌脱いでやるか? カズヤ。
カズヤ
えっ!
あ~でも……ハイジマ先輩が絡むとキョウとの関係は余計に悪くなるような~。
イオリ
ハッハハハ、分かってんじゃねえか。
つまり――俺があいつをおちょくりたいんだよ。
カズヤ
ちょっとっ!!
カエデ
うるせえな!!!!!!
カズヤ・ジュン・アンジュ
ぎゃっ!!!
ユウイチ
急にでけー声出すなよ、カエデ。びっくりすんだろ。
カエデ
クソマシュウがまたデケー声でなんか喋り出しやがった……!
あいつ、今日という今日は喉元にかぶり付いてやる……!! ガウガウッ!!
カズヤ
あ、ミクリヤ先輩が走ってったぞ!
ジュン
ほっといたらヴァンパイアたちとの大乱闘が起こる! シドウ、追っかけろ!
ユウイチ
しょうがねえ奴だな。待てカエデ~!
イオリ
丁度いい。俺たちも行くぜ、カズヤ。
カズヤ
え、今っ!? もっといい雰囲気でキョウとは話したいっ!
イオリ
人間の世界に吊り橋効果って言葉があるんだぜ? 要はなんか突拍子もないこ
とが起こってる時の方が、感情ってのはいい方向に動くんだよ。
カズヤ
なんかそれっぽい理論……!
ジュン
ミクリヤ先輩が言ってたマシュウってヴァンパイアは、ミチタカ情報によると
キョウたち世代のヴァンパイアの中でリーダー的存在だ!
そんなのにかぶり付いちゃったら関係がもっと悪くなるかもだし、行くしかな
いって!
カズヤ
よ、よし!! 目指せ、吊り橋効果だ!!
マシュウ
狼男が屋敷の敷地に侵入していただと!? 捕獲しろ!!
キョウ・ミチタカ・タクミ・チハル・コウヘイ
(声がデカい……)(笑))
キョウ
そんな大袈裟にするほどじゃないよ。
それに、オオトリ伯爵が容認しているんじゃとやかく言えない。
俺たちとは爵位が違い過ぎる。
コウヘイ
オオトリ伯爵もヒイラギ伯爵もそういうのに拘るヴァンパイアじゃなさそうだ
けど、こういうのはランク下の方が気に掛けるべき礼儀ですもんね(笑)
タキセ先輩に賛成~。
マシュウ
低きに流れるな! 特にコウヘイ、お前はあの駄犬に狙われてるんだぞ!
コウヘイ
カエデくんのこと? う~ん、僕そんなに美味しいお肉に見えるのかな(笑)
ミチタカ
そもそもキリノエ先輩とトセは、オオカミ族のミクリヤ先輩やシドウと過去に何があったの。
コウヘイ
『血のクリスマス事件』だよ……。
僕たちがまだ子ヴァンパイアだったある年のクリスマス、
子狼男だったカエデくんとユウイチに森で遭遇した。
マシュウくんとカエデくんはその場でいきなり噛みつき合いの大喧嘩を初めて、
お互い無傷では済まなかった……。因縁の始まりはそんな感じ(笑)
ミチタカ
本当の意味での『血』のクリスマスなんだ……。
でも何でいきなりそんなことに……。
コウヘイ
理屈じゃないんだよね(笑)
あの人たちは今の時代珍しい生粋のヴァンパイアと狼男なんだもん(笑)
マシュウ
甘い顔をしていれば……野蛮な狼どもが俺たちの領地に糞尿をまき散らす前に
罠を仕掛けるぞ。
貴様らも、次奴らを見かけたら問答無用で捕えろ。オオトリ伯爵に言い分が
あるのならその後聞く。
チハル
うちのリーダーは強気だね。いっそ下剋上したら?
キョウ
滅多なことを言うなよ……。
タクミ
確認したいことがある。捕獲した狼男の処遇について――、
その狼男をどうするかについては、自分で決めてもいいんですか。
マシュウ
煮るなり焼くなり好きにしろ。腹を壊す覚悟があるなら不味い血を啜ろうが
構わん。
タクミ
待ってて下さい、イオリさん……俺の使役狼として、何不自由ない一生を
送らせてみせます……!
チハル
なに、ユラ。お前、狼男なんかペットにする気なの?
犬じゃないんだから、あんな連中は小屋に繋いでても躾けられないよ?
狼男は放し飼いにして遊ばないと♪ ペットじゃなくてオモチャ♪
一緒に遊ぶんじゃなくて、狼男“で”遊ぶのが最高♪
キョウ
聞かなくていいぞ、ユラ。こいつの思考はお前と同程度には歪んでる。
チハル
タキセに言われたくないね♪ お前が一番、特定の狼男に拗らせてるよ。
キョウ
何を言ってるのか分からないよ。
ミチタカ
(分かる……)
ヒイラギ
子爵組は気が立っているようですね。狼男たちが屋敷を出入りしていた件で。
オオトリ
タキセたちが? そんなに気性が荒い奴らじゃないでしょ。
ヒイラギ
一部、古風な考えを持つ者もいます。
オオトリ
ああ、キリノエね。あいつ好きだな。ちょっとアカツキに似てない(笑)?
ヒイラギ
まったく……。
オオカミ族との関係性については、僕も改善すべきだと考えています。
僕がヒイラギ伯爵家の当主であるうちに成すべき使命だとすら思っている。
軽い気持ちで波風を立てられたくはないんですが?
オオトリ
人聞きが悪いな。
可愛い迷い犬――じゃなくて迷い狼と和気藹々お喋りしただけなんだけど?
ヒイラギ
とはいえ……いいタイミングかもしれませんね……。
僕も、今現在のオオカミ族の生態や考え方を知りたいと思っていました。
今、双方の距離が図らずも近くなっている。
我々、伯爵世代が上手く立ち回ることが出来れば、ここがターニングポイントになるかもしれない。
オオトリ
俺に何か出来ることは? ヴァンパイア界を背負うヒイラギ王子。
ヒイラギ
そうですね……きみはまあ、いつも通りで。
どうせ「あれをしろ」「これをするな」と言っても考える前にやってしまうのが
きみというヴァンパイアです。
オオトリ
あらら。
ホシタニ
こんにちは! 仲良くしよう!
キョウ
……?
チハル
何このコミュ強な狼男。タキセ、お前の“カズヤ”の仲間じゃないの?
ホシタニ
ヤマナシはオレの弟分だけど……なんで知って……あ!!
足長いイケメンのヴァンパイア……! もしかして“キョウ”!?
キョウ
ひょっとして、カズヤが言ってた年上の狼男っていう……?
ホシタニ
ホシタニユウタです!
チハル
え、じゃあこいつもしかして俺たちと同い年くらいだったりする?
見えないな。
ホシタニ
確かに……ヴァンパイアって大人っぽいなあ。
チハル
ちょっと味見してやろうか。こっちおいでよ♪
ホシタニ
ぎゃ!! オレの血なんか美味しくないよ!!
キョウ
やめとけサカキ。話が繋がってきた。多分この狼男はオオトリ伯爵の客だよ。
チハル
例のうちの敷地に侵入してたっていう?
気を付けた方がいいよ、キリノエっていう怖ーいヴァンパイアがお前らのこと
根絶やしにするくらいの剣幕で罠張ってるから♪
ホシタニ
なにそれ、怖い!
ナユキ
ど、どうしよう……はぐれちゃったホシタニくんを探してたら……、
クガくんがいつの間に檻の中にっ!
クガ
食いもん落ちてて……食ったら檻が降ってきた。
ツキガミ
お前……そんな古典的な罠に……。
テンゲンジ
拾い食いするからだ野暮助! か~情けないねえっ!
マシュウ
ハッ、予備で置いておいた子供騙しの罠にまさかかかるモンスターがいるとは。
貴様らオオカミ族の低能さには恐れ入る。
ナユキ・ツキガミ・テンゲンジ・クガ
ヴァンパイア!!!!
カエデ
聞き捨てならねえなあ!!!
ナユキ・ツキガミ・テンゲンジ・クガ
ミクリヤ(くん)!!!!
カエデ
チィッ、ぬるいホシタニんとこの群れの連中かよ。
クソヴァンパイアのクソトラップにはまってんじゃねえよ、面倒くせえな。
ガブガブガブッ! ガキンッ!!
ツキガミ
なっ……檻を噛み砕いただとっ?
テンゲンジ
なんつう頑丈な牙してやがる……。
クガ
助かった。
ナユキ
あ、有難う、ミクリヤくんっ。
カエデ
うるせえてめえらのことなんか知るか!!
そこのクソヴァンパイアを優位に立たせたくねえんだよっ!!
ナユキ・ツキガミ・テンゲンジ・クガ
(いつもながら口が悪いな(ぜ)……)
マシュウ
ハ、飛んで火にいる夏の虫とはこのことだ駄狼。
今日という今日はその獣臭い血を一滴残らず吸って吐き出して仕留めてくれる。
カエデ
今日という今日はハラワタ食いちぎってミンチにしてやらあ!
マシュウ
やれるものならハンバーグにでもメンチカツにでもそぼろ弁当にでもしろ!
カエデ
してやらあ!!!
カエデ・マシュウ
ガブガブガブッ!!!!
ナユキ
あわわわわっ!
ツキガミ
この2人が揉め始めると手が付けられない。巻き込まれる前に退散するぞ。
テンゲンジ・クガ
異議なし。
カズヤ
おーい、ハイジマせんぱーい! ジューン! 何処だー!
結局みんなバラバラじゃん! ユータんとこの群れと違って、
うちの群れってイマイチまとまりに欠けるんだよな~っ!
オオトリ
ヘイ、ボーイ。迷子にでもなった?
カズヤ
おわっ、ヴァンパイア!!
すみませんすみません不法侵入する気はなくてっ!!
オオトリ
あれ?? お前、随分昔に見たことある顔だな。
もしかして小さい頃タキセとよく遊んでた狼男じゃない?
カズヤ
ん??
この足の長さ、顔の良さ、狼男にも気さくに話しかけてくれる感じ……。
あ!! もしかしてあんたがユータの『憧れのヴァンパイア』!?
オオトリ
あはは、そんな大袈裟な呼び方されてるの?
カズヤ
確かにめちゃくちゃキラキラしたヴァンパイアだな……。
キョウとは全然違うタイプだ……。
オオトリ
タキセに会いに来たの? さっきもタキセを探してる狼男に出会ったよ。
あいつ、狼男にモテるよね(笑)。
カズヤ
えっ! 多分それ、うちの群れの誰かです! どんな狼男でしたっ?
オオトリ
どんな……モコモコしてて、大きな犬みたいで……可愛い子だったよ!
カズヤ
可愛い?? じゃあジュンか?? 犬みあるからシドウってことも??
オオトリ
あー、そういやうちのユラってヴァンパイアがその子にご執心だったなあ。
カズヤ
ハイジマ先輩のこと!?
俺たちオオカミ族の中でどう見たってカッコイイの部類に入るハイジマ先輩を
捕まえて“可愛い子”呼ばわり……! ヴァ……ヴァンパイア強すぎ……!!
ヒイラギ
狼男を保護している?
キョウ
はい。キリノエに見つかると色々と面倒なことになりそうなので。
あとで然るべき場所へ送り届けるつもりです。
ヒイラギ
キリノエくんを中心としたきみたちの世代は、オオカミ族との関係性をやや
険悪に導く傾向がありますからね(呆)。大きな諍いが起きることは避けたい。
きみに任せるので、その狼男は責任を持って保護しておいて下さい。
タクミ
一応確認しておきますが、
その狼男、まさか俺のイオリさんじゃないでしょうね。
キョウ
ハ? あんなもの保護するだけ骨折り損だよ。あいつは躾不可能な犬だ。
タクミ
タキセ伯爵家の次期当主のわりに見る目がなくて助かりました。
キョウ
新興貴族の特殊な戯れに口を出すつもりはないけど、
あんなイロモノを使役動物にしようなんて、社交界で嘲笑されるぞ。
タクミ
古臭い考え方に迎合していては新しい道は切り拓けませんよ。
キョウ・タクミ
(バチバチバチ)
ヒイラギ
やめなさい、名家の跡取りが揃いも揃って……。
イオリ
相変わらず貴族ってのはつまらねえお喋りばっかりしてんだなあ?
キョウ・タクミ
ハイジマ……。(イオリさんっ!)
キョウ
何しに来た……。
イオリ
うちのカズヤに会ったって? あいつ落ち込んで帰って来たんだぜ?
どう責任取ってくれんだよ。
キョウ
狼男のことなんて、俺には関係のない話だよ。
イオリ
そのわりには俺とつるむと悪影響だなんだって吹き込んでるらしいじゃねえか。
キョウ
っ。
イオリ
残念ながら狼ってのは群れるのが習性なんだぜ? 同じ群れで生まれて育った
俺とカズヤには切っても切れない絆がある。否が応でも影響し合う。
が、それはヴァンパイア様には関係ない話だよなあ?
キョウ
……関係のない無駄話をしに来たのか、喧嘩を売りに来たのかどっちなんだ?
イオリ
幼馴染の弟分を盗られたのがよっぽど屈辱だったみたいだなあ?
そんなに悔しけりゃそこのストーカー見習って、美味い餌で釣る努力くらいは
したらどうだ、タキセ伯爵家のお坊ちゃん?
タクミ
つまり俺がたらしている餌は伊織さんにとって多少の効力があるものと考えて
いいということですね? 引き続き努力します。
イオリ
いや今お前の話してねえよ……。
キョウ
……💢
ヒイラギ
タキセ君も冷静に見えて……まだまだ180歳の子供なんですね(呆)
ツキガミ
とにかく手分けしてヴァンパイアとの親睦を深めてみることにしたが。
ナユキ
さっきの怖いヴァンパイアみたいな人に会ったらと思うと……、
緊張してきちゃったかも……。
ツキガミ
こんな時こそ、物怖じしないホシタニのような狼男が役に立つんだが。
???
ウオオオオオーーーンッ!
ツキガミ
今の遠吠えは……仲間を呼ぶ声?
ナユキ
ホシタニくんの声じゃなかったっ? 良かった、合流できそうだねっ!
ホシタニくーん!!!
ジュン
残念でしたー、僕なんだよね。
ナユキ
ツヅキくん!
ツキガミ
お前は……本当にうちのホシタニと鳴き声が似ていて参る。
ジュン
自分じゃよく分かんないんですよね~。
トール先輩とカイト先輩はこんな所で何してるんですか?
ツキガミ
かくかくしかじかでヴァンパイアと交流しようとやってきたんだが。
ナユキ
ちょっと怖気づいちゃって……。
ジュン
お~、だったらいいヴァンパイア知ってますよ?
僕の遠吠え聞いて、そろそろ来るんじゃないかな~。
ミチタカ
呼んだ? ジュン。
コウヘイ
僕もついてきちゃったよ?(笑)
ナユキ
ヴァンパイアが2人! ツヅキくんの、知り合いっ?
ジュン
そ。この2人は特に穏健派なんでめちゃくちゃ安全です!
ミチタカミチタカ、なんか情報掴んでない? ミクリヤ先輩がキリノエ先輩のとこに突撃してっちゃったんだよ~。
ミチタカ
俺の使役動物からの情報によると、もう遅いみたい。開戦しちゃった。
コウヘイ
こうなるともう誰にも止められない。時間が解決するのを待つしかないね(笑)
ミチタカ
ところでこの人たち、ホシタニ先輩のところの群れの人?
ツキガミ
ホシタニのことを知っているのか。
ミチタカ
まあ。カズヤとも仲いいので。
コウヘイ
ホシタニって、頭に4本アンテナ立ってる狼男?
さっきタキセ先輩と一緒に歩いてたの見かけたな。
ジュン
キョウと? なんでだ?
ミチタカ
キリノエ先輩の罠にはまって、捕虜にされちゃったとか。
ナユキ・ツキガミ
え!?
ジュン
縁起でもないこと言うなっつの!
ナッシングデリカシーなヴァンパイアだな!
ミチタカ
ああごめん。
コウヘイ
マシュウくんと違ってタキセ先輩は隠れ穏健派なんで、なんやかんや無事だと
思いますよ(笑)。そのうち解放されるんじゃないですかー?
ミチタカ
じゃあとりあえずうちの屋敷で待ちますか?
ナユキ
えっ?
ツキガミ
ヴァンパイアにしてはノリがゆるい……。
ジュン
ミチタカたちはゆとり世代のヴァンパイアだもん。行こ行こ先輩たち!
一緒にポップコーンでも食べて親睦深めようぜ~!
チハル
や。珍しいところで会うね、アンジュ♪
アンジュ
う……胃が……。
チハル
また? いっつも肉ばっか食ってるからじゃないの?
たまには文明的なもの食べな。
はいこれ試してみる? ガレットっていう焼き菓子。
アンジュ
胃が痛いのでっ、遠慮しますっ。
クガ・ユウイチ
(グゴゴゴゴゴゴゴゴオオオォォォ)
アンジュ
シドウくん! と……たしかクガくん、でしたっけ?
良かった……一先ず仲間と合流出来ました……。
チハル
またデッカイ狼男が入り込んで来たもんだなあ。しかも2匹。
今の腹の音? 特殊な攻撃でも繰り出されたのかと思うような音だったけど。
クガ
その食いもん……。
ユウイチ
イカルガ先輩食わねーならくれ。
アンジュ
えっ、あっ、どうぞどうぞっ。
チハル
勝手にやらないでくれる?
クガ・ユウイチ
もぐもぐもぐ、もぐもぐもぐ。
チハル
あーあ、高級なのに。
アンジュ
よっぽどお腹が空いてたんですね。
チハル
ねえ、お前らもオオトリ伯爵のペット候補?
結構フィジカル強そうで使えそうだし俺にしとかない?
俺、自分のオモチャ大事にする主義だよ?
クガ
要するに時給いいのか?
ユウイチ
俺は別に金には困ってねーしなー。別にボランティアでいいけどー?
アンジュ
だ、ダメですっ!
このヴァンパイアは恐ろしいヴァンパイアですっ!
気に入られたらしつこいので、早く逃げましょうっ!
チハル
あは、仲間が来た途端に元気いっぱいとか、まさしくオオカミ族だね。
いいよ、10数えてやるから先に逃げな♪
クガ
完全に遊ばれてるぞ、イカルガ。
ユウイチ
つまり、俺自身が獲物!
アンジュ
っぐ……人の弱点を突くようなやり方は気が引けるので……お守り代わりに
していましたけど……、シドウくんとクガくんのためでもあります……。
かくなる上は……くらえ、ピーマンっ!
チハル
ぶっ……丸ごとって、手榴弾じゃないんだから。
まず調理して口に入れる努力をしてくれる(笑)?
アンジュ
っ!
キョウ
もう出てきていいよ。
偵察に出していた使役猫によれば、キリノエとミクリヤの戦いは両者貧血によって一旦収束したらしい。今のうちに然るべき場所へ送るよ。
ホシタニ
それって綾薙の泉? オレたちの縄張りとの境界線だもんな。
残念。もっといろんなヴァンパイアと話したかったし、オオトリ先輩にも会いたかったなあー。
キョウ
お前は、本当に俺たちが共生できると思ってるのか?
考え方や、感じ方だって、まるで違うのに。
ホシタニ
うん、だから面白いって思わない!? それに、同じオオカミ族の中にだっていろんな奴がいるしさ。考え方や感じ方が違っても、オレはみんなのこと大好きだ! だからヴァンパイアともきっと仲良くなれる!
オレは、共生を諦める方法なんて知らない!
って、さすがにノーテンキすぎ?(苦笑)
キョウ
……ふ。オオカミ族の特性かな。
ホシタニ
え?
キョウ
しまりのない百面相。
ホシタニ
へ?? ……今ちょっとバカにされてる??
オオトリ
お前の群れの連中、結局見つけられなかったね。
カズヤ
あー、でも大丈夫です。縄張りに戻ればそのうちみんな帰って来るだろうし。
怖いヴァンパイアに干物にされてないといいけど……。
オオトリ
あはははは、大丈夫。この屋敷にはいろんなヴァンパイアがいるけど、
みんな心根はいい奴らだし、俺たちのリーダーがしっかり目を光らせてるから、
乱暴なことはしないよ。
カズヤ
そっか……! ホッ。
なんか、オオトリ先輩とキョウってちょっとだけ似てるかも。
オオトリ
え、そう? 初めて言われたな(笑)。
カズヤ
ヴァンパイアの特性なのかなあ。
なんか一緒にいてくれると安心するっていうか、
この人がそう言うなら大丈夫かも!って思えるっていうか、頼れる感じ!
子狼の頃は、俺にとってキョウもそんな感じだったんだ……。
今は会うと、ちょっと緊張しちまうけどっ(苦笑)。
オオトリ
緊張じゃなくて。ソワソワとか、ドキドキとか、ワクワク、なんじゃない?
カズヤ
え?
オオトリ
胸が高鳴って、楽しい! って思う気持ち。
カズヤ
それって……もしかして吊り橋効果ってやつ??
オオトリ
あははは、似たようなものかもね。
俺から見たらタキセだって、ヤマナシの話してる時は、ソワソワしてるように
見えるよ。可愛いよね(笑)
カズヤ
キョウが可愛い……?? う~~ん、サスガです!!
俺には到達できない領域だ……!!
オオトリ
あはは。
キョウ
いたぞ。お前の送り先。
ホシタニ
え?
オオトリ
あれ、珍しい取り合わせだな。やあ、また会ったね、ホシタニ。
ホシタニ
オオトリ先輩だ!!
カズヤ
わっ! キョウ!?
キョウ
はあ……お前も来てるんじゃないかと思ったよ……。
ハイジマが、わざわざ俺のところまでお前の話をしに来たからな。
カズヤ
えっ!! ど……どんな話した……??
キョウ
……。
カズヤ
……?
ホシタニ・オオトリ
??
キョウ
せっかくだから、お茶くらいしていくか。ドーナツくらいなら出すよ。
カズヤ
……え? ……ええっ!? キョウが、俺を、おやつに誘っ……。
キョウ
百面相もいいけど、消費期限が切れるまでにどうするか決めろよ?
カズヤ
た、食べる食べる!! てかお茶、手伝う!!
キョウ
割られたら困るから遠慮するよ。
カズヤ
ちょいちょーい!!
オオトリ
はは、いいねえ。
ホシタニも良かったらどう?
きっと他の奴らもまだあちこちにいるんじゃない? みんな呼んでさ。
ホシタニ
いいんですか!? わーい!
みんな、オオトリ先輩に会ったらヴァンパイアのこと大好きになると思う!
オオトリ
だったら、俺たちの未来は明るいね。
おっと、夜闇に潜むモンスターなのにおかしいけどさ(笑)。
ホシタニ
夜の森だって、月や星でキラキラ明るいですよ!
むしろそこからがオレたちの!
オオトリ
遊びの時間だ!
ホシタニ
ですね!
動物が苦手な狼男。
犬に追いかけられていたところを助けてくれた『憧れのヴァンパイア』と仲良くなりたい。
狼男とヴァンパイアは古来より天敵同士ではあるが、異種間交流を諦める方法なんて知らない!
生食主義のオオカミ族に、加熱した料理を食べるという文化をもたらした前衛的な狼男。
肉や魚だけでなく、植物にも熱やスパイスを加えて美味しくするのが得意。
心優しく、2匹の狼娘の兄でもある。
伝説的な異種婚姻によって生まれたオオカミ族とヴァンパイアのMIXであり、兄はヴァンパイア界のプリンスと呼ばれる吸血鬼。故にヴァンパイアとも親交があり、ウオズミ公爵とは師弟関係。なお兄がウオズミ公爵に毎日迷惑をかけていることが悩みの種。
オオカミ族の中でも一大勢力である『ムサシヤ』という群れの跡取り狼男。
群れに同世代の狼男がいなかったことから友達がおらず、長らく一匹狼だった。
今はホシタニたちと友人になり、誰より友情を大事にしている。
きっと前世でも狼男だったに違いないと言われるほどの、想像通りのTHE狼男。
かつては満月の夜になると暴れて手が付けられなくなる不良狼だったが、今は落ち着いている。食欲旺盛で人間界のインスタント食品が好き。
ヴァンパイアの名家、オオトリ伯爵家の当主。しかし地位や名誉には興味がない。
犬好きで大型犬を何匹も使役している。
ヴァンパイア界の異端児で、天敵のオオカミ族のことも大きな犬のようで可愛いと思っている。
ヴァンパイアの名家、ヒイラギ伯爵家の当主。オオトリとは従兄弟同士。
ヴァンパイア界の正当なリーダーで、モンスター全体のリーダー格ともいえる。
日頃から種族の垣根を越えてモンスターたちが一致団結する未来について考えている。
ホシタニの弟分だが、ホシタニより遥かにしっかりしている狼男。
ヴァンパイアのキョウとは幼馴染で子供の頃はよく一緒に遊んでいたが、今は疎遠。
元の友情の鞘に収まりたくて、頼れる先輩狼男のイオリによく相談を持ち掛けているが、それが裏目に出ていることに気付いていない……。
カズヤとキョウの幼馴染で、カズヤとは兄弟のようなもの。ヴァンパイアのミチタカとも親友で、今もよく一緒に遊んでいる。
ホシタニと遠吠えの声がそっくりで、カズヤを呼んだはずがホシタニの仲間が集まることがある。
カズヤたちの群れのリーダーで、とっても頼れる狼男。しかしホシタニの群れのメンバーからはなんか判決を言い渡されそう……と囁かれている。
カズヤからは慕われているが、ヴァンパイアのキョウとは天敵同士。
非常に内向的な狼男。遠吠えの声が小さく、よく迷子になる。
森で迷子になっていた時に出会ったあるヴァンパイアに意地悪をされてから胃痛持ちに。
以来、そのヴァンパイアがニンニクよりも苦手だというピーマンを持ち歩いている。
ここ百数十年でオオカミ族とヴァンパイアの関係性が余計に悪化したのは彼らが生まれたせいだ――と言われるほど仲の悪い『カエデとマシュウ』の片割れ。
生まれた瞬間からヴァンパイアを嫌っており、特にマシュウを見ると反吐が出る。
カエデの幼馴染。ヴァンパイアのコウヘイとも親交があるが、カエデに知られると丸齧りされるのでコソコソ遊んでいる。ヴァンパイアのマシュウに何故か気に入られており、最悪血を吸われても負けないように毎日レバーを食べているがそういう問題ではない。
ヴァンパイアの名家、タキセ公爵家の子息で現在は子爵。
猫好きで黒猫を使役している。
頭脳明晰スポーツ万能、ヴァンパイア界期待の若者。
オオカミ族は天敵だが、そんなことよりなにより狼男のイオリが天敵。
ジュンの親友で、カズヤとも交流がある。
そもそもオオカミ族とヴァンパイアの対立関係には疎い上、種族問わずモンスターの懐に潜り込むのが上手い。オオカミ族の縄張りに顔パスで入ることが出来るツワモノ。
ヴァンパイアの名家、ユラ家の次期当主。新興貴族だが大きな富を築いており『伝統のヒイラギ家』『財力のユラ家』と区別されることも。
狼男であるイオリに魅了されており、いつか専属飼い主になりたいと狙っている。
キョウの友人で、オオカミ族を揶揄って遊ぶのが好きなヴァンパイア。
古から続くような敵対心は全くないが、ナチュラルに「獣は吸血鬼の使役物(おもちゃ)」と、狼男たちを下に見ている。しかし彼なりの愛着は持っているらしい。
ここ百数十年でオオカミ族とヴァンパイアの関係性が余計に悪化したのは(以下略)……。
異様に自分に自信があるため非常に声が大きく、カエデの耳の性能が異常にいいのも相まって、常にマシュウの声がカエデに筒抜けになっており、歩く騒音と呼ばれている。
マシュウの幼馴染。狼男のユウイチとも親交があるが、マシュウに知られると厄介なのでコソコソ遊んでいる。狼男のカエデに何故か気に入られており、いつか食べられるのではないかと笑いながら我が身を案じている。