
第1場:歌劇宿乱本社にて
- 柊・鳳・楪・漣
- 「え?」
- 鳳
- 「暁が指導した星社員たちは、今回のコンペに参加しないの?」
- 柊
- 「またどうして」
- 暁
- 「きみたちが支配人を務めていたホテルや旅館とは違って、僕がいた『あかつき高原研修センター』は学校の林間学習や会社のフレッシュマンセミナーに使われる宿泊施設だからね、年度初めの今が一番の繁忙期なんだよ。現に4月5月は予約が埋まっていてとてもお茶会の準備をしている余裕はないよ」
- 漣
- 「なるほど。お茶会が開かれるのは4月末……まさにど真ん中というわけか」
- 楪
- 「オー、なーんと! 暁のディシプルたちはとっても真面目な働き者。今回のコンペティションを勝ち抜いてボクらのサポート役になってくれたらきっとトレビアンな仕事ぶりを見せてくれると思っていたのに……でもボクのディシプルたちにとっては強力なライバルが1組減りマーシタ! チャンスデース!」
- 柊
- 「楪……」
- 漣
- 「あなたはこういう催しでは意外な強かさを見せるな……」
- 柊
- 「コンペの審査は公正に行わなければなりませんよ?」
- 楪
- 「ウィ~、分かってマースよ~」
- 鳳
- 「ははは。けど残念だな。ほら、あかつき高原研修センターにはキャンプ場もあるじゃない? 高原におしゃれなテントを張ってガーデンパーティー風お茶会、なんていうのも楽しそうだなと思ってたのにさ」
- 暁
- 「そのくらいの突飛なことは、きみが育てた星社員たちも考えそうなことじゃないか。ホテル・オートリがコンペで勝っても、似たようなことをするんじゃないのかい?」
- 鳳
- 「なるほど、いいねえ!」
- 暁
- 「今のは苦言を呈したんだよっ?」
- 漣
- 「何はともあれ、お茶会の会場が決定するまでの1ヶ月弱、彼らは厳しい審査を受けることになる」
- 柊
- 「ええ。歌劇宿乱より派遣される調査員が宿泊客を装って、抜き打ちで各施設を訪れ審査にあたることになっています。彼らにとっては、気の抜けない1ヶ月となるでしょう」
- 暁
- 「歌劇宿乱の一員としては、肩入れは出来ないけど、」
- 鳳
- 「元・上司兼指導者としては、陰ながら応援したい気分だよね」
- 楪
- 「ウィ! ボクらみんなのディシプルたち、頑張ってクーダサーイ!」
★次回、『第2場:ホテル・オートリにて』へ続く!?