
第2場:ホテル・オートリにて
- 天
- 「あ~あ~あ~忙しいねえ、まったく」
- 空
- 「春休みの繁忙期は終わったじゃねえか」
- 天
- 「それじゃない。例のお茶会の開催会場コンペティション対策でてんてこ舞いだ」
- 空
- 「あー」
- 天
- 「いつ歌劇宿乱の調査員が泊まりくるか分からないからな、おかげでタヴィアンとの同伴出勤も1ヶ月お預けだ……ここまでやったからには何としてもコンペを勝ち抜いてやらないとねえ。フローリスト! いつも以上に豪華絢爛な花を用意して気合いを入れやがれ!」
- 空
- 「控えめな花にも良さがある。花のことは俺に任せて、お前は客への態度に気ぃ付けろ。月皇に言われてんだろ?」
- 天
- 「ハ、過剰にへりくだるなんざ御免だねえ。お客様は神様だとか言うらしいが、オレ様は天花寺翔様だ!」
- 空
- 「……」
- 星
- 「おーい、天花寺~! 空閑~!」
- 那
- 「おはようっ」
- 空
- 「星谷。那雪」
- 天
- 「ロビーでバタバタ走るな、野暮助ども」
- 星
- 「あ、ゴメン!」
- 那
- 「あわわ、ごめんねっ」
- 空
- 「どうした?」
- 星
- 「これこれ、食べてみて~。那雪がお茶会用に考えた新作のケーキ!」
- 那
- 「星谷くんにはさっき試食してもらったんだけど……唐辛子パウダー入れすぎてないか心配で」
- 天
- 「また激辛スイーツか。それ客からの評判どうなんだあ?」
- 星
- 「美味しかったよ?」
- 那
- 「あ、有難う」
- 空
- 「お茶会用って……まだコンペ中なのに気ぃ早えな」
- 星
- 「だって居ても立ってもいられないよ~」
- 那
- 「1ヶ月近くも審査期間があるなんて……何もしてないと緊張しちゃって」
- 天
- 「ほら見ろ、やっぱり審査期間が長すぎなんだ」
- 空
- 「いっそ拳で決着つければ1日で済むのにな」
- 那
- 「ええっ」
- 星
- 「ボクシング勝負とか? でもそれだとオレ出番ないかも、多分弱いもん(苦笑)」
- 天
- 「そんなもんはお前と柊庵の庭師で勝手にやりやがれ」
- 空
- 「漣屋も侮れねえぞ。イノシシ転がすような奴がいるからな」
- 那
- 「北原くん……(苦笑)」
- 天
- 「!! 空閑、あの野暮助に負けたら承知しないからな!!」
- 空
- 「お前、月皇が親の七光りっつわれたの、まだ根に持ってんのか。本人が気にしてねえんだから忘れろよ」
- 天
- 「違っ……か、勘違いするなっ! オレは別に仲間のために怒ってるとかそういうんじゃないだからなっ!」
- 星
- 「天花寺ってほんと友達想いだよな!」
- 那
- 「そうだね!」
- 月
- 「やれやれ、何を騒いでいる」
- 星・那
- 「月皇(くん)」
- 空
- 「噂をすればだな」
- 天
- 「フンッ」
- 月
- 「おい、星谷。事務所に大きな荷物が届いているぞ。一体何を買ったんだ」
- 星
- 「ああ、アレ!」
- 月
- 「私物ならきちんと休みの日に自宅で受け取れ。職場を何だと思っている。飼い猫を連れ込む奴といい……」
- 天
- 「アァ?」
- 星
- 「違う違う、アレはホテルで使うやつなんだって!」
- 月
- 「は?」
- 那
- 「アレって……何買ったの? 星谷くん」
- 星
- 「パラソル!!」
- 那・月・天・空
- 「パラソル????」
- 星
- 「もし今回のコンペに勝って、うちのホテルでお茶会することになったらさ! 庭にパラソルいっぱい立てて、お料理なんかも並べちゃって、鉄板なんかも出しちゃって、焼きそばなんかも作っちゃって、来た人みんながお腹いっぱいになって帰れるような、すっっごいお茶会にしない!?」
- 天
- 「それお茶会じゃなくてバーベキュー大会だろ!」
- 月
- 「やれやれ……」
- 那
- 「あはは(苦笑)」
- 空
- 「それ、自腹で買ったのか」
- 星
- 「うん! 実際、使うことになったら経費にしてもらおうと思って一応領収書もらっといたけど」
- 空
- 「コンペで負けたらどうすんだ」
- 星
- 「へ?」
- 星
- 「・・・」
- 星
- 「えーと……考えてなかった」
- 天
- 「オイ!!」
- 那
- 「えええっ!?」
- 星
- 「だ、大丈夫っ! 5人で力を合わせれば、きっと何とかなるよっ! オレは、夢を諦める方法なんて知らない!!」
- 那・月・天・空
- 「(きっとノープランだ……)」
- 星
- 「さあ、今日も仕事の時間だ! オレたち――」
- 星・那・月・天・空
- 「ファイブスターダスト!!!!!」
★次回、『第3場:柊庵にて』へ続く!?