≪7≫
アルベールが姿を消し、大混乱のブラッディ・ロジャーのクルーたち。
クリスもただただ戸惑うばかり。
ティエラは1人、何かを察している表情で……。
その時――!
混乱によって生じた隙を突かれ、突如海軍からの襲撃を受けるブラッディ・ロジャー!
「突然どうして!?」
急いで錨を上げ船を出すクリスたち。しかし、周囲の海賊船には目もくれず、
明らかにクリスたちの船に狙いを定めている様子に違和感を覚える。
応戦しながら、どうにか洞窟に隠れ、事なきを得た――と思った矢先!
ジョバンニがクリスに剣を向ける。
自らの正体を明かすジョバンニ。先ほどの襲撃も、
ジョバンニの密告により敵国の王が手を回したものであった。
ティエラは事情を把握するが、クリスとアンリは何も知らない。
まだ幼いアンリは、ティエラの制止を振りほどきジョバンニに向かっていく。
アンリ「クリスを離して! ボクの大事な家族なの! きみだってそうでしょ!? 違うの!?」
ジョバンニ「っ……」
アンリ「アルベールもいなくなっちゃって……
きみやクリスまでいなくなっちゃったらっ、ボク許さないからねっ!!」
目に涙を溜めて怒るアンリの姿に、剣を落とすジョバンニ。
懺悔するジョバンニ、彼の心はもうブラッディ・ロジャーの一員なのであった。
そして――クリスやアンリにここまでバレては仕方がない……と、真実を明かすティエラ。
クリスとアンリが亡国の王族の生き残りであること、幼い頃アルベールが2人の命を救ったこと、
彼らをティエラの父が匿い、真実を告げないまま海賊として育てたこと。
初めて自分の素性を知ったクリス。
そして、アルベールが何故姿を消したのか、何をしようとしているか、思い至る。
クリス「……何も知らなかった……。アルベール、俺は今まで、きみからどれだけのものを貰い、
どれだけのものを奪ったんだろう……。きみのために、何が出来る……?」
海賊として、大好きな海で生きてきた。それはアルベールによってもたらされていた自由だったと知るクリス。
「今、その親友が戦おうとしている……俺が守るべき人々のために。放ってはおけない!」
王の血が目覚めるクリス。
船の仲間たちも、口々にクリスに賛同。
ジョバンニ「仲間を1人で行かせるなんて海の男の名が廃る」
アンリ「わざわざ陸に上がって戦う海賊なんて、聞いたことないけどね」
ティエラ「陸の上で死ねるんなら本望だぜ」
クリス「錨を上げ、帆を掲げろ! 行くぞ、仲間の元へ!」