~プロローグ~

海に囲まれた小さな国。国王は民から尊敬され、民は国王から愛され、平和な国である。
城のある美しい丘では、幼い王子がお目付け役の乳兄弟・アルベールと遊んでいる。
草花を愛でるアルベールと違い、眼下に広がる海に憧れるクリス王子。
そんな彼にアルベールは海の荒波とそこに生きる海賊たちの恐ろしさを説くのであった。

そんなある夜、突如として大国の軍が攻め入ってくる。
城は瞬く間に侵略され、家臣たちは次々と命を落とす。アルベールの両親も……。
死を覚悟した国王と妃は「せめて幼い息子たちの命だけでも」と、幼いアルベールにクリスとアンリを託し、密かに城から逃れさせる。

王子たちを守るため、海へと逃れるアルベール。
両親や王の亡骸を弔うことも出来ず、今まさに滅びゆく祖国に背を向けて前に進むほかなかった……。