≪2≫

その夜、賑やかな乾杯タイム。
いつものように、クリスとティエラが「今日一番の手柄をあげたのは誰だ?」と競い合う。
ティエラ「一番はともかく、最下位ならハッキリしてるぜ。なあ、アンリ?」 アンリ「うぅ……」 アルベール「ティエラ、そうやってからかうのはやめて下さい。アンリはまだ子供なのです」 ティエラ「いやいや、そいつはちょっと臆病すぎる。とても荒波に揉まれて育った男とは思えねえ」 アンリ「好きで海で育ったわけじゃないもん……それにっ、ボク子供じゃないんだから!」
むくれて部屋を飛び出してしまったアンリ。
ティエラはクリスとアルベールからお小言を言われるのであった。

甲板へやって来るアンリ。そこには1人、夜風に吹かれるジョバンニの姿があった。

ジョバンニ「おや、アンリ。酒盛りは終わったの?」 アンリ「……ふん。きみって変な人だよね。どうしていつもみんなとご飯食べないの?」 ジョバンニ「ご機嫌ナナメだ。またティエラにからかわれた?」 アンリ「ボクのこと臆病者だって」 ジョバンニ「それはしょうがない。アンリはまだ子供なんだし――」 アンリ「もうっ、みんなして子供扱いしないでよねっ!」
頬を膨らませるアンリを元気付けようと、ジョバンニはいつものお気楽節全開で言う。

ジョバンニ「落ち込んだ時は笑えばいい! 歌えばいい! そのために仲間がいるんだから! ね?」 ジョバンニ「僕はみんなと違って子供の頃から海の上にいるわけじゃないけど、ここが好きだから羨ましい。毎日が冒険みたいで、ワクワクしない? アンリは海が嫌いなの?」 アンリ「……海賊と戦うのはちょっと怖いけど……嫌いじゃない……みんながいるし」
アンリ、少し照れ臭そうに「クルーが仕事サボってないか見てくる!」その場を後にする。
笑顔で見送ったジョバンニ。1人、意味深な表情で甲板に佇む。
いつも明るく能天気な仮面を被ったジョバンニの、暗く鋭い裏の顔が垣間見え……。