≪15場:ランバートとアレクシスの和解≫

ランバートの件を、エディから聞かされるアレクシス。
「自分のせいだ」と嘆き、激しい口調でエディを追い返すと――、
ひとりぼっちの屋根裏部屋で、より一層に心を閉ざしてしまう。

項垂れるアレクシスの元に、いつもと変わらない様子でやって来るランバート。
明るく振る舞ってはいるが、アレクシスにはそれが虚勢だと分かっている。
ランバートの上面な世間話を遮るアレクシス。

アレクシス「俺は……知っている」
アレクシスの辛そうな声を聞き、努めて微笑むランバート。

ランバート「……アレクシス……僕に『宝物』をくれよ。いつものように……」 アレクシス「お遊びはもう終わり……俺がお前に与えたものは、暗い悲しみだけだ」 ランバート「僕はちっとも悲しくない。悲しみなど感じない。君が楽になれるなら……僕は馬鹿のフリをする」 アレクシス「!」

♪『ランバートの虚心』(歌唱:ランバート)

素直に自分の心を見せ合ったランバートとアレクシス。
すると――それぞれの傍らに立つ『影』が、涙を流していることに気付く。

アレクシス「ランバート……天使のように微笑んでいた、俺の『影』が泣いている」 ランバート「アレクシス……悪魔のように冷たかった僕の『影』も泣いている」 アレクシス「今のお前のように……」 ランバート「今の君と同じように……」

♪:『Shadow&Lights』(歌唱:ランバート&アレクシス)

 2人はようやく、互いの『影』の正体に気付く。
 氷のように冷たく見えた『ランバートの影』は、
 厳しく自分を戒めながらランバートを思いやってくれていたアレクシスの写し鏡。
 天真爛漫に見えた『アレクシスの影』は、
 いつも笑顔を絶やさずアレクシスの心を守ってくれていたランバートの写し鏡。

 『影』は――自身が強く求め憧れる『お互い』を写し出した姿だったのだ。

 互いが互いの『希望の光』なのだと気付いたランバートとアレクシスは、
 いつの間にか、夢を語り合った少年時代と同じように、笑顔を取り戻している。


ランバート「君から大切なものを受け取ると、君から大切にされていると思えるんだ。それだけで、世界から大切にされているように思えるよ。ほんの小さなガラクタ1つで、僕はこんなにも強くなれる……!」
ランバートは、アレクシスに手を差し伸べる。
アレクシスは、屋根裏部屋のドアを開く。
これまで縋っていた互いの『影』と決別し、2人支え合って夢を見るために……。

その時――2人の前から『影』が姿を消した。

END